
電気温水器とエコキュートの違いは?
メリット・デメリット、選び方を解説

近年、オール電化住宅の普及とともに、給湯器を選ぶ際に電気温水器とエコキュートのどちらが自分の家に向いているのか悩むケースが増えています。両者は同じ電気を使う給湯器ですが、それぞれの仕組みやコスト、設置条件に大きな違いがあります。
たとえば、電気温水器はヒーターによる直接加熱方式で構造がシンプルである一方、エコキュートは空気中の熱を有効に活用するヒートポンプを採用しており、省エネ性や環境性能の高さが特徴です。しかし、初期費用や設置スペースに関する条件は大きく異なるので、導入前にしっかり比較検討することが大切です。
本記事では、電気温水器とエコキュートの仕組みや導入・維持費用の比較に加え、具体的なメリットやデメリット、選び方のポイントを詳しく解説します。自宅の状況やライフスタイルに合った給湯器を見極めるための情報をまとめましたので、ぜひご参考ください。
目次
オール電化給湯器とは?
電気温水器とは:ヒーターでお湯を沸かすシンプルな仕組み
エコキュートとは:ヒートポンプを活用した省エネ給湯器
ガス給湯器やエネファームとの比較
ついている給湯設備がガスか電気か
設置場所と種類の確認方法
電気温水器とエコキュートの仕組みの違い
お湯を沸かす方法の基本:電気ヒーター vs. ヒートポンプ
熱効率に影響を与える空気エネルギーの活用
設置費用とランニングコストを比較
初期費用の相場:設置工事費や本体価格
電気代の目安と省エネ度合いの違い
補助金やキャンペーン制度の活用方法
寿命・メンテナンスの比較
耐用年数と交換のサイン
定期メンテナンスの重要性と費用相場
電気温水器・エコキュートのメリットとデメリット
電気温水器のメリット・デメリット
エコキュートのメリット・デメリット
災害時や停電時はどうなる?非常時の対応
断水時でも便利な貯湯タンクの活用法
停電への備えとリスク管理
オール電化給湯器とは?
近年ではオール電化という選択肢が注目され、ガスを使わずに家の設備をすべて電気でまかなう住宅が増えつつあります。給湯器においても、ガス給湯器を撤去して電気温水器やエコキュートを導入する例が多く見られます。それに加えて、ハイブリッド給湯器や燃料電池であるエネファームなど、さまざまな技術が普及し始めており、それぞれに初期費用やランニングコスト、環境面における特徴があります。
オール電化住宅の利点は、割安な電力料金プランを活用できる可能性があることです。特に夜間の電気代が安いプランを上手く組み合わせれば、長期的に光熱費を抑えられます。その反面、自然災害や停電時に電気が使えなくなるリスクも考慮する必要があります。こういったさまざまな視点を踏まえて、自宅の条件に最適な給湯器を選んでいくのが重要です。
電気温水器とは:ヒーターでお湯を沸かすシンプルな仕組み
電気温水器は、タンクに溜めた水を電気ヒーターで直接加熱することでお湯を作る方式です。構造がシンプルで壊れにくいため、初期費用やメンテナンスコストが比較的安価な傾向があります。また、ヒーターで直接水を温める仕組みゆえ、設置スペースや稼働時の騒音がエコキュートよりも少ないというメリットがあります。しかし、電気を利用して水を直接温めるためエネルギー効率が低く、エコキュートと比較するとランニングコストが高くなる点には注意が必要です。
エコキュートとは:ヒートポンプを活用した省エネ給湯器
エコキュートは、空気中の熱を取り込み、ヒートポンプ技術を用いてお湯を沸かす給湯器です。少ない電力で効率よく熱エネルギーを得られるため、ランニングコストを大幅に抑えやすい特徴があります。初期費用は電気温水器に比べて高めになる傾向がありますが、長期的に見ると光熱費の削減や環境負荷の軽減が期待できます。また、国・自治体の補助金やキャンペーンなどを上手く活用すれば、導入コストを抑えられる可能性があるのもエコキュートの大きなメリットです。
ガス給湯器やエネファームとの比較
ガス給湯器は瞬間的にお湯を沸かす能力が高く、初期費用も比較的安価です。しかし、ガス料金やガス漏れ・排気に関する安全面など、気を配るポイントがいくつかあります。また、燃料電池を利用したエネファームは、高い環境性能や省エネ性能が期待できるものの、導入費用が高額になりがちです。
これらと比べた場合、電気温水器やエコキュートはオール電化プランを活かせるため、電気代を上手くコントロールできる点が大きな強みといえます。
ついている給湯設備がガスか電気か
すでにガス設備が整っている住宅の場合、ガス給湯器での運用が手軽に感じられるかもしれません。しかし、長期的なランニングコストの削減や深夜電力を活用したいという理由で、電気温水器やエコキュートへの切り替えを検討する方も増えています。導入には既存設備の撤去費用や工事の調整も必要になるため、導入初期費用と使い始めた後の費用対効果を総合的に比較しながら決定しましょう。
設置場所と種類の確認方法
給湯器を導入する際には、特にタンクや室外機を置くスペースを確保できるかが重要です。電気温水器はタンクのみなので比較的コンパクトにまとまる場合もありますが、エコキュートはタンクとは別にヒートポンプユニットを設置する必要があるため、騒音や設置面積の確保についても注意が必要です。さらに、建物の構造や配管の経路によっては設置に追加の費用がかかることもあるため、事前に業者としっかり確認しておくことが大切です。
電気温水器とエコキュートの仕組みの違い
電気温水器とエコキュートはどちらも電気を使う給湯器ですが、熱エネルギーの取り込み方が大きく異なります。
電気温水器は、水を直接電気ヒーターで加熱してタンクに貯める構造が基本です。一方でエコキュートは、空気中の熱をヒートポンプによって圧縮し、その際に得られる熱を利用してお湯を沸かす点が特徴です。これにより、電気温水器より少ない電力で効率的にお湯を作ることが可能になっています。
この仕組みの違いによって主に影響を受けるのが、毎月の電気代や省エネ度合いです。また、初期費用の面でも、シンプルな仕組みの電気温水器はエコキュートに比べ安価になる傾向がありますが、長期的に利用する場合はトータルコストをよく比較することが重要です。
お湯を沸かす方法の基本:電気ヒーター vs. ヒートポンプ
電気温水器は電気ヒーターによる直接加熱であるため、仕組みが分かりやすく故障率も比較的低いといえます。しかし、電気ヒーターは電気エネルギーを熱エネルギーへ変換する効率がそこまで高くないため、想定以上に電気代がかかる可能性があります。一方、ヒートポンプを採用するエコキュートは、圧縮と膨張の過程で利用できる空気の熱を最大限活用することで、高い省エネ性能を発揮するのが強みです。
熱効率に影響を与える空気エネルギーの活用
エコキュートは外気温が低い環境では効率がやや下がるものの、それでも電気温水器に比べると少ない電力で十分なお湯を作り出せるといわれています。これは空気中に含まれる熱エネルギーを取り込み、熱交換器で効果的に活用しているためです。結果として月々の光熱費を抑えることができ、環境負荷を減らしながら快適に給湯を行うことが可能になります。
設置費用とランニングコストを比較
一般的に、電気温水器は本体価格や設置工事費が比較的安めで、導入時のハードルが低い傾向があります。一方でエコキュートは本体価格や工事費が高くなりがちですが、長期間使用することで電気代の節約が期待できるため、トータルコストで見るとエコキュートが有利になるケースが多いです。ただし、設置条件やタンク容量、メーカーごとの価格差などがあるため、一概にどちらが安いとは言い切れない面もあります。
電力会社が提供している夜間専用の割安プランを利用した場合、どちらの給湯器も昼間より安い電気料金で稼働できます。加えて、補助金や自治体のキャンペーン、メーカー独自の特典などを上手に組み合わせれば、初期費用を下げられる可能性があります。導入前に各種助成制度をしっかりと調べ、計算したうえで比較検討をしましょう。
初期費用の相場:設置工事費や本体価格
電気温水器の場合、タンクやヒーターなど構成部品がシンプルなため、本体価格や設置費用を抑えやすい傾向にあります。エコキュートはヒートポンプユニットの分だけ製造コストがかかり、設置も既存の設備状況によっては工事費が高くなることがあります。ただし、家族の人数や使い方によって求められるタンク容量が変わるため、数字だけでなくライフスタイルとの相性も考慮する必要があります。
電気代の目安と省エネ度合いの違い
実際の電気代は住んでいる地域や季節、給湯量などに左右されるため一概に比較は難しいですが、ほとんどの場合でエコキュートの方が電気温水器に対しておよそ3分の1~4分の1の電気代で収まると考えて良いでしょう。省エネ性能を重視する方や、長期的に光熱費を抑えたい方にとっては、エコキュートがより魅力的な選択肢となるでしょう。各家庭の使い方に左右されるため一概に言えませんが、本体寿命までの計算で100万円ほどは差額が出てきます。
補助金やキャンペーン制度の活用方法
エコキュートなど比較的新しい技術を用いた給湯器は、自治体や国の省エネ推進策の対象となることがあります。補助金や低金利ローン、メーカー主催のキャンペーンなどが適用される場合もあるので、事前にチェックしておくと導入費用の負担を大幅に軽減できる可能性があります。特に、環境省や地方自治体のホームページを定期的に確認しておくと最新の情報を得やすいでしょう。
寿命・メンテナンスの比較
給湯器の一般的な寿命は10~15年程度とされ、メーカーや機種によっても若干異なります。電気温水器はシンプルな構造のため、部品交換などのメンテナンスが比較的容易で、費用も抑えやすい傾向にあります。一方、エコキュートはヒートポンプユニットなど複雑なパーツを含むため、故障した際の修理費が高額になりやすい点には留意しておきましょう。
しかし、丁寧にメンテナンスを行うことで大きなトラブルを未然に防ぎ、機器の寿命を延ばすことも可能です。例えば、定期的にタンク内を点検して、小さな不具合がある場合は早めに修理するなどの対策が効果的です。故障してからまとめて修理するのではなく、日頃から状態をチェックして異常を感じたらプロに相談するのがベストです。
耐用年数と交換のサイン
電気温水器やエコキュートを10年以上使用していると、お湯の温度が上がりにくくなったり、変な音がするなどの不具合が出てくることがあります。これらは交換のサインとなる可能性が高く、長期間放置すると配管や内部部品へのダメージが蓄積され、突発的な故障が発生しやすくなります。定期点検で劣化度合いを確認し、買い替え時期を見極めることが大切です。
定期メンテナンスの重要性と費用相場
エコキュートの場合、ヒートポンプユニットや配管の洗浄など、専門的なメンテナンスが必要になることが多いです。一方、電気温水器はヒーター周辺のチェックやタンク内の清掃を中心に行うイメージで、比較的簡単にメンテナンスができることもあります。一般的な点検費用は年に数千円から数万円程度ですが、こまめにメンテナンスを実施することで故障リスクを減らし、結果的に大きな出費を抑えられるでしょう。
電気温水器・エコキュートのメリットとデメリット
家庭の状況や家族構成、予算などによって、どのポイントを重視するかは人それぞれです。短期的な出費を抑えたい場合は、初期費用の低い電気温水器が有利でしょう。一方で、長期的に見るとランニングコストを抑えやすいエコキュートが魅力的と考える人も多いです。
また、周辺機器との相性や騒音問題なども、大切な判断材料になります。どちらの方式も、災害時にタンク内の水を非常用に使えるメリットがありますが、停電時はヒーターやヒートポンプが動かずお湯が沸かせなくなる点は共通する懸念事項といえます。
電気温水器のメリット・デメリット
電気温水器の最大のメリットは、導入費用が比較的安価に抑えられることと、構造がシンプルで故障しにくい点です。さらに、エコキュートほど大きなスペースや室外機を必要としない機種も多く、マンションなどのスペースが限られた環境でも設置できる可能性があります。一方、電気を直接利用して加熱する方式のため、ランニングコストはエコキュートと比較すると高めになりがちな点は見逃せません。
エコキュートのメリット・デメリット
エコキュートはヒートポンプを使って空気中の熱を取り込み、高効率でお湯を作り出すため、省エネ性に優れています。その結果、家庭の光熱費を抑えながらCO2排出量も削減できる点が大きな魅力です。ただし、初期費用が高いことや、ヒートポンプユニットが発する稼働音への注意、広い設置スペースの確保など、導入前に検討すべき項目も多いのが現状です。
災害時や停電時はどうなる?非常時の対応
災害時は水や電力の供給がストップする恐れがあり、給湯や飲み水の確保が大きな課題となります。電気温水器やエコキュートはタンク内に水やお湯を貯めているため、断水時にもある程度の水を利用できる利点があります。特に飲み水としては推奨されない場合もありますが、トイレの水や洗い物など、生活用水としては非常に役立ちます。
一方、停電時には電力を使って給湯することができないため、新たにお湯を作るのは難しい状況になります。短期的な停電に備えて、タンクの残量を常に確認しておくことや、非常用の発電機や蓄電池を導入するなどの対策も検討しておくと、より安心してオール電化ライフを送ることができるでしょう。
断水時でも便利な貯湯タンクの活用法
貯湯型の給湯器はタンクを備えているため、断水時でもトイレや洗面など最低限の水を確保したいときに活用できます。電気温水器やエコキュートの場合、給湯専用であっても、タンクの水を取り出して使える構造になっていることがほとんどです。ただし、タンク内の残量や水質には限りがあるため、非常時には計画的に使うように注意しましょう。
停電への備えとリスク管理
ヒーターやヒートポンプが電気で稼働する以上、停電中は給湯ができなくなるリスクを抱えます。通常の停電であればタンク内に貯まったお湯を利用できますが、それが尽きた場合、新たなお湯を沸かす手段がありません。もし災害に対するリスクをより低減したいのであれば、地域の防災体制や発電機・蓄電システムなどの導入検討も含め、総合的な備えを検討すると安心です。
設置時にチェックしたいポイント
まずは自宅の設置スペースをしっかり測定し、タンクやヒートポンプユニットを置く場所が十分に確保できるかを確認しましょう。特にエコキュートは室外機が必要となるため、隣家との距離や騒音を考慮することが重要です。地域によっては設置場所が法律や条例で制限されている場合もあるので、事前に自治体や施工業者に相談しておくと安心です。
また、電気料金プランはいくつかの種類があり、夜間電力が格段に安くなるプランを選べば、電気温水器やエコキュートをお得に利用できる可能性があります。さらに、太陽光発電を設置している場合は、昼間に発電した電気を活用できるシステム設計も有効です。こうした電力契約や再生可能エネルギーとの組み合わせを考慮することで、長期的なコスト削減につながる場合があります。
設置場所・スペースの確保と騒音対策
エコキュートではヒートポンプユニットがファンを回して空気を取り込むため、運転時の騒音レベルが気になることがあります。周囲との距離や騒音の出やすい時間帯などを考慮し、設置位置を工夫するのがおすすめです。防振ゴムを使用するなどで騒音を軽減できる場合もあるため、工事業者と相談しながら設置計画を進めるとよいでしょう。
電気料金プランや太陽光発電との併用
オール電化住宅では、電力会社が提供するさまざまなプランをうまく組み合わせることで、日中や夜間の電気代をコントロールしやすくなります。また、太陽光発電システムとの併用で自家発電した電力を給湯器に回すことができれば、さらにランニングコストが下がるケースもあります。導入前に試算を行い、設備投資に見合った効果が得られるか検討することが大切です。
まとめ
電気温水器とエコキュートにはそれぞれ異なる特徴があります。省エネ性や導入費用、メンテナンス性を総合的に検討し、ライフスタイルに最適な給湯器を選びましょう。
電気温水器は初期費用が安く、構造がシンプルで設置条件を比較的選ばない点が魅力です。一方、エコキュートはヒートポンプによる高い熱効率のおかげで電気代を抑えやすく、環境負荷の低減にも貢献できます。少ない電力で大量のお湯を作れるため、長期的に見れば運用コストを大きく削減できる可能性があります。
最終的には、家庭の人数や給湯の使用量、設置スペースの有無、初期投資に回せる予算などを総合的に考慮して選択することが大切です。また、自治体や国の補助金制度を活用すれば、より導入をしやすくなることもあるでしょう。将来的な交換やメンテナンスも含め、長い目で見て満足できる給湯器を選ぶことが、快適なオール電化住宅ライフへの近道です。